新型コロナウイルスに感染し、陰性になって退院した後も長期間、発熱や倦怠感などコロナ後遺症に悩まされる人が増えています。2020年11月現時点でのコロナ後遺症の詳細をまとめました。

 

 

新型コロナウイルス後遺症が長期間にわたり続くことも

 

新型コロナウイルスが陰性になった後も、後遺症が長期にわたり続く可能性があるようです。

 

春先にPCR検査を受けられなかった方の調査や対応がまったく追いつかない現実

特に今問題になっているのは、

 

春にPCR検査を受けられず、半年たった今も倦怠感発熱が続く

と言う方々。
この中には、後に抗体検査陽性と判明した人も。

 

 

2020年11月に発表された論文では、「発症後4ヶ月経っても、息切れ嗅覚の異常など様々な後遺症がある」ということが明らかになりました。海外では

18歳のいとこが、コロナから回復し、元気になったと思って退院した翌週に亡くなった

という衝撃的なニュースも入ってきています。

 

休職せざるを得なくなった男性

強い倦怠感が続き、休職せざるを得なくなっている男性。退院後、手の痺れが続き、仕事を失った男性もいます。この男性は今も酸素吸入器が手放せず、職場復帰が見通せません。収入が減るなか、大学に通う娘は 退学を考感染者が急えていました。

 

国内でも9万人を超える新型コロナ。治療費は国が出していますが、治療後の暮らしをどう支えるのか。

 

治療後も続くコロナ後遺症

今、コロナ後遺症の症状に苦しむ悲痛な声が次々と SNS に投稿されています。

 

また熱がでた

 

味覚嗅覚は全くなし

 

PCR検査で陰性が出てからも、症状が治らず、

  • 頭痛
  • 倦怠感
  • 湿疹

といった症状が未だに続いています。
僕は二十歳で持病もないのに。。。

 

見えてきたのは様々な症状に苦しめられている実態。

コロナの後遺症に悩む患者を積極的に受け入れるクリニックが希望の光に

コロナの後遺症に悩む患者を積極的に受け入れるクリニックがあります。平畑光一医師です。

https://www.hirahata-clinic.or.jp/dr/
平畑光一 |ヒラハタクリニック(渋谷駅・内科)

 

少し歩くだけで息苦しくなった。
ひと月以上にわたって微熱や倦怠感が続くことに悩まされています

 

患者の中には寝たきりの状態や夜も眠れないなど深刻なケースもあるといいます。オンラインの診察も行っているようです。

 

もうすごく辛い思いされてる。想像ですないような辛さを抱えておられるんですよね

 

クリニックに通う患者の中には、後遺症が長期に及んでいる人もいます。今年春新型コロナに感染した40代の男性です。40°C近くの熱と咳の症状があり、一か月あまり入院しました。その後回復し、陰性も確認されたため、一度は職場に復帰しました。完全に治ったと思っていましたが、実際には微熱や呼吸の苦しさも半年以上続いているのです。やむを得ず休職した男性。今では1日のほとんどを寝て過ごしています。

 

治るのか不安しかない

後遺症に関する最新の調査結果

2020年11月、国内で後遺症に関する最新の調査結果が報告されました。退院した人の後遺症の比率は

 

  • 息切れがおよそ11%
  • 倦怠感と嗅覚の異常があると答えた人はおよそ10%

など。「一定の割合で後遺症が見られる」と明らかになりました。さらに「こうした症状が120日以上続く」ということも分かってきました。国も後遺症の実態について研究を続け、「どんな人に後遺症が出やすいかなど調査を進めています。

今年の春にPCR検査を受けられなかったという患者

後遺症の患者が訪れるこのクリニックでは、コロナ後遺症と似た症状を訴える患者の中に、

 

今年の春にPCR検査を受けられなかった

 

という患者が相次いでいるのです。

たぶんコロナの症状なのに、検査が受けれなかったので治療もされない・・

 

平畑医師は、「コロナの後遺症は予想以上に広がっているのではないか」と懸念しています。当時は県債体制の不足もあり、「37.5度以上が4日続かないとPCR検査を受けられない」といったことがあって、それを真面目に守って受けなかった方々がその後後遺症で苦しむっていうようなことが起きている可能性があります。一方で「有名人だから」と言う理由で平熱でもPCR検査を受けることができた橋下徹・元大阪府知事のような身勝手な人もいました。

 

後遺症と見られる患者を放置してしまうっていうのは、かなり良くないことだと思います。非常にそういう方が多いです。

周囲に理解してもらえないコロナ後遺症

患者の中には「コロナ後遺症」と理解されず孤立を深めていった人もいます。二人の子供を持つ専業主婦。今年の春頃から微熱や胸の痛みなどの症状に苦しめられ、半年経った今も続いています。

 

不整脈が辛い。自分がコロナに感染したのではないか

と家族に相談しましたが、理解をしてもらえませんでした。思い悩んだ末、この主婦は抗体検査を受けることにします。結果は陽性。過去にウイルスに感染していた可能性が高まりました。(抗体検査はPCRよりかなり精度が高いといわれています)
これで周囲も理解してくれると考えた主婦。しかし、さらに苦しめる自体が起きます。当時、「コロナに後遺症がある」と理解されず、医師からも「気のせいではないか」と言われ治療を受けることができなかったのです。誰にも頼ることができない中、この主婦の方は自ら情報を集め、平畑医師に辿り着くことができました。

 

今は「コロナ後遺症」と診断され、症状に合わせた薬を処方してもらい、ようやく治療につながりました。この半年で平畑医師が診察したコロナ後遺症を訴える患者は237人。平畑医師は多くの患者が行き場もなく孤立する現状に危機感を強めています。

サポートはもほとんど皆無に近い。非常にマズイと思いますね。サポートはもっともっと利用しやすくしないといけない。取り残されてしまっていることに無自覚でいていいはずがない。社会として。

最新の研究から見えてきた後遺症の実態

最新の研究から見えてきたコロナ後遺症の実態、新型コロナでどんな後遺症があるのでしょうか。

 

  • 倦怠感
  • 全身の筋力低下
  • 脳の機能低下
  • 足のしびれ
  • 脱毛などは体中似たような症状が見られる

などがあり、広範囲で、しかも影響が全身に及ぶ症状も少なくないのが印象的です。

 

さらに、新型コロナの症状が重症だった人だけでなく、中等症や軽症だった人にもこうした後遺症が現れるのが特徴だということです。

 

それぞれの後遺症の症状と考えられている原因とは

 

まだ原因が特定できてない部分があるようですが、息苦しさ・せき・たんなど呼吸器への障害ということは、新型コロナが肺に炎症を起こしますが、それがまだ後遺症として残ることがあるようです。

 

強い炎症性から長く続く炎症。

 

血栓症も目立ちます。肺で血の塊が血管に詰まるとそこから血が流れなくなって酸素が届かないというこういう症状になりますが、それによって手足のしびれ、聴覚異常・味覚嗅覚障害・全身の倦怠感などが関係するんではないかと考えられています

 

この病気でだんだん分かってきた事ですが、非常に長く続くと、半年間も症状が悪化したり軽化したりということを繰り返す患者さんがいらっしゃるということ。例えば、微熱が続いたり、やはり咳痰の症状が続いたりする方がいらっしゃるということがわかってきました。

集中治療後症候群

筋力や記憶などといった脳の機能低下も起きるようですが、これはの ICU に長期に滞在して人によっては2ヶ月3ヶ月ということで非常に長く滞在される方がいらっしゃり、それによって筋力の低下、筋肉を使わないこと、病気自体によって筋力の低下が起こったり、結果として麻酔薬なそを使わないといけない場合もあればその影響もあります。

 

結果として脳の機能低下が起きてしまう。この二つによって「 IUC を退出した後も気持ちが優れない」ということで「うつ」とか不安などの症状も出てきてしまうということが言われています。これは集中治療後症候群として以前から知られていた病態です。

もっと長期にわたる恐れもある

後遺症はもっと長期にわたる恐れもあるということです。少なくとも2年は経過を見ていく必要があります。すでに長い期間わずらう方もいますし、通常、やはり2年以上みないと「後遺症としての病態」が明確になってこないということもあります。長い研究では5年ほどフォローアップしているような研究もあります。後遺症というものを一般的に長い目で見ていかないと正確には分からないものなのです

 

PCR 検査を受けられなかった人への今後のサポート体制はどうなる?

後遺症に苦しんでいる人の中には、PCR 検査を受けられなかった人もいるということです。今回の新型コロナウイルス対策というのは、未知のウイルスに対して、政府としても地方自治体としても「手探りの中でやっている」といのが実態だと思います。他の後遺症の問題についても、これからもさらに最新研究でいろんなことが明らかになってきます。しかし、情報は不足していて、不確実な意思決定を強いられているという点では非常に難しい問題だと思います。一方で、社会として放置できないのも事実なので何かしらの対策を打っていかなきゃいけないと思います。不確実性の中で、データがない、あるいは完璧な治療や予防方法がない中で、どういう形で政策を作っていくのかとのが非常に悩ましいところです。まずは実態把握がこれから求められます。

 

医師の間でも後遺症の認識がなかなか公がっていなかったという状況も明らかになってきました。まずはこのどういうことが起きてるのかってこと把握することが大事です。どういう方が後遺症が多く出るのか、どれぐらいの方が後遺症悩んでらっしゃるのかというデータやエビデンスが一番大事と思います。

 

後遺症が長引き経済的にもプレッシャー

半年ほど後遺症に苦しんでいる人たちの中には、経済的な不安を抱えて深刻な状況に陥る人も出ています。新型コロナで重症になり2ヶ月前に退院した50代の会社員です。ん感染が確認された4月から休職しています。気がかりなのは「いつ仕事に復帰できるか」「酸素吸入器はいつになったら不要になるのか」見えないこと。安静時はなんとかなっても、歩くと酸素が下がる。

 

治療費ものしかかる

 

新型コロナは指定感染症のため、検査で陽性になった患者などは入院措置が取られます。その間の療養費は原則公費負担です。一方入院措置が取られる「前」の費用は通常通り、自己負担が発生します。また陰性になるなどして退院した「後」のリハビリなどの費用も同様です。この会社員の場合、陽性確認前の ICU の費用が8万円、さらに高額療養費制度を使ってもリハビリなどで27万円かかっています。

 

生活を支えているのは給与の2/3が保証される傷病手当金。しかし受けられるのはあと1年余りです。治療や復職の目処が立たない中、大学生の娘は退学することも検討したと言います。「仕方ないとだと思うんですけど、ここで辞めてしまったら今までの努力が無駄になる。やっぱりそれはパパも望んでない」

 

自ら立ち上げた事業たたまざるを得なくなった人もいます。40年にわたり事務用品の卸をしていた自営業の方。感染したときにできたとみられる血栓の影響で、杖なしで歩くことができなくなりました。営業周りができなくなり、退院直後に廃業することを決断しました。今後は年金だけが頼りです。

ずっとがんばってきたけど、まさか、こんな終わりになるとは・・

傷病手当金を拡充

感染拡大を受け、国は給与の一部を保証する傷病手当金を拡充しています。これまで会社員や公務員の健康保険などで支給されていた傷病手当金。今回、国が財政支援し、国民健康保険の加入者にも支給することにしましたが、拡大の対象はパートやアルバイトなど雇われている被用者です。
ところが、国民健康保険に加入していたにも関わらず、この対象にならなかったという人がいます。フリーカメラマンのSさんです。7月に広告会社と業務委託契約した直後に感染が判明し、退院した後も倦怠感や指が震える症状に悩まされています。入院中に契約を打ち切られましたが、「被用者ではないため傷病手当金が受け取れない」と言います。Sさんは今別の仕事を探すことも考えています。ただ、「指の震えが治る見通しが立たないうちは就職活動にも踏み切ることができない」と言います。

 

後遺症による生活不安、どう支えていくのか。新型コロナの治療後に長く続く通院やリハビリ、そして失業や休職などで暮らしに大きな不安を抱える人がいるという実態が見えてきました。どうして感染症の治療入院が終わりますと医療費は公費負担ではなくなるため、保険や傷病手当金などで医療費や生活費を賄うなければならなくなるわけです。けれどもコロナ後の暮らしに苦しむ人たちや子供をどう支えて行けばいいんでしょうか。一つの考え方として例えば医療保険の自己負担も軽減するとか、傷病手当金の枠を拡充するとか、そういった政策は既存の制度に上乗せする話なので、比較的容易でスピーディーです。ただ一方で、その政策を打つ時はそれなりに税金や保険料でまかなうことになるため、エビデンスなりデータがないと、政策を打ちにくいのが実情です。現状では実態把握の方が先決とは思います。

 

フリーランスの方へ手当金もらえずに非常に厳しい状況に追い込まれていることが分かってきました。日本の医療保険制度そのものが元々男性の正規雇用と永年雇用を前提としたシステムですので、非正規雇用の人は給付がなかなか少ないというのが実態としてありました。例えば国民健康保険の傷病手当金を受けられなかったりしていました。一方で働き方が20年30年で変わってきましたので、その働き方の多様化の中で、医療保険が適用あり方を多様化に対応できていなかったのが実態です。けどそういった今まで放置され来た「時代遅れの仕組み」が今回コロナで一気に顕在化したともいえます。個人事業主としていろんな要望、請け負ってらっしゃる方もたくさんいますし、依頼する側もそういう方々が必要です。働き方が多様になっているのに、こういった人たちを「支えるしくみ」っていうのがまだ追いついていないということです。パートかアルバイトで国民健康に加入してるから、コロナになって休職をすれば傷病手当金が受けられる制度改正がなされて部分的にそのそういった手当がなされたわけですが、の非正規雇用の人に対するそのサポートの体制の少なさがや歪みが、コロナ禍で顕在化してるって事です。
これまでにもあった問題が今、そして後遺症ということでさらに重要になってきたということです。後遺症に伴う家庭や仕事の問題について、そもそも苦しんでいる人達の相談先すらありません。今、コロナの感染拡大を防ぐための相談窓口っていうのはありますが後遺症治療法の相談窓口はありません。情報のハブとして必要であればドクター必要であればナース、必要であればリハビリを紹介して頂けるような、その患者さんに安心感を与えるようなハブのような存在が必要ではないでしょうか。平田先生のような現場のドクターがどんどんどんどん先行して実績を作って、それを行政が後追いするというような風に進むのが実態になりそうです。保健所なんかはある程度把握をしてるんでしょうかというのは疑問です。実際に保健所に聞くと、「すごく心配されている」というふうに聞いてます。「希望が持てないとか孤立してる」理由の一つは相談ができない、相談しにくい、相談したら差別の問題、そんな難しさも背景にありそうです。
誰もが今回のコロナ感染者になりえます。「明日は我が身」という問題意識の共有の中で、支え合いの仕組みをつくっていかないと、自分も助からないし、他も助からない、だからやっぱり自分も助かるけど他にも助かるという社会保障の原点のが非常に大事だと思います。コミュニティレベルで・企業とか自治体レベルでその差別を克服するような取り組みや、復職しやすいような雰囲気を作っていくような取り組みが必要です。一部の自治体でこの条例を作ってるのもありますので、こういったことを全国に広げていく意義があると思います。

 

コロナ後遺症に苦しむ人がいる、ということを前提に、これから社会の仕組みを考えていかなきゃいけないですね。